ミシンの異音の原因は?ガリガリ・ギーギー音の直し方|元ミシン屋店長が解説

ミシンで縫っていると「ガリガリ」「ギーギー」といういつもと違う音がして、不安になりますよね。異音の多くは、掃除・針の交換・使い方の見直しで改善します。ただし音の種類によって原因が違い、なかには放置すると他の部品まで傷めてしまう危険な音もあります。
元ミシン屋店長として、店頭で数多くの異音トラブルを見てきました。この記事では、音の種類別の原因と自分でできる対処法、そして「これは修理に出したほうがいい」という見極め方までまとめます。
異音がしたら、まず確認すること
音の原因を探る前に、いったん電源を切って、次の3点を確認してみてください。故障ではなく、糸かけや針のセットが原因で音が出ているケースも多いからです。
- 上糸・下糸のかけ方:糸道から外れていたり、天秤に糸が掛かっていないと、引っかかるような音が出ます。一度かけ直してみましょう。
- 針の向き・ゆるみ:針が奥までしっかり入っているか、平らな面の向きが合っているかを確認します。
- ボビン・釜まわり:ボビンが正しくセットされているか、糸くずやホコリが溜まっていないかを見ます。
ここで直れば故障ではありません。それでも音が続く場合は、音の種類から原因を切り分けていきます。
【音の種類別】ミシンの異音の原因と対処法
ミシンの異音は、音の種類でおおよその原因が推測できます。代表的な4パターンを見ていきましょう。
ガリガリ・ジャリジャリという音
金属部品どうしが擦れている、または内部に固着した糸くず・ホコリを噛んでいるサインです。掃除で改善することもありますが、金属が摩耗している場合は修理が必要になります。4つの音の中で最も注意が必要な音で、放置すると他の部品まで傷めてしまうことがあります。
ギーギー・キーキーという音
可動部の油切れが主な原因です。長く使ったミシンで出やすい音です。ただし、自分で油を差すのは注意が必要です(後述します)。まずは無理に使い続けず、取扱説明書で注油の可否を確認してください。
カタカタ・ガタガタという音
ネジのゆるみや、生地に対して針・糸が合っていないときに出やすい音です。厚地に細い針を使っている、逆に薄地に太い針を使っているといったミスマッチが原因のことがよくあります。針を生地に合ったものに替えるだけで直るケースも多いです。
シャカシャカ・カラカラという音
下糸の巻き方が均一でない、ボビンのセットが正しくない、といったボビンまわりが原因のことが多い音です。下糸を巻き直し、ボビンを正しくセットし直すと改善することがあります。
店長メモ
店頭で異音の相談を受けたとき、私はまず「どんな音ですか?」と音の種類を聞いていました。ガリガリという金属音は摩耗や部品の干渉、ギーギーは油切れ、と音でだいたい原因の見当がつくからです。特にガリガリ音は要注意で、これが出ているミシンは早めに見てもらったほうがいいです。放置して縫い続けると、摩耗した金属の粉が他の部品に回って、直せたはずの故障が直せなくなることがありました。
実際にあった例を一つ。ガリガリという金属音の相談で持ち込まれたミシンを開けてみたら、針を上下させる「針棒(はりぼう)」という部品が摩耗していたことがありました。ここで一番お伝えしたいのは、これは「古いミシンだったから」ではない、ということです。傷み方を左右するのは使った年数よりも、どう使ってきたか——生地に対して無理のある縫い方を続けていないか、こまめに掃除やメンテナンスをしてきたか——のほうがずっと大きく効きます。だから「買ってまだ数年だから大丈夫」とは言い切れません。ガリガリという金属音が出たら、年数に関係なく、一度中を見てもらうのが安心です。
自分でできる異音の対処法
ボビン周り・釜を掃除する

異音の原因で一番多いのが、ボビン周りに溜まった糸くず・ホコリです。ミシン付属のブラシで、釜のまわりのゴミを取り除いてみてください。掃除の詳しい手順は、こちらの記事で写真付きで解説しています。
針を新しいものに交換する
針は消耗品です。曲がった針・古い針を使い続けると、生地や釜に負担がかかり、異音や縫い目の乱れの原因になります。8〜10時間使ったら交換が目安です。生地に合った針・糸の選び方は、こちらでまとめています。
→ ミシン初心者必見!糸と針の正しい選び方で仕上がりが変わる!
注油は「取扱説明書で確認してから」
ギーギー音=油切れと聞くと、すぐ油を差したくなりますが、これは要注意です。最近の家庭用ミシン、特にコンピューターミシンは、自分で注油する必要がない・メーカーが注油を推奨していない機種がほとんどです。むやみに油を差すと、糸やベルトに油が付いて、かえって別の不具合を招くことがあります。注油できる機種かどうかは必ず取扱説明書で確認し、自己判断で内部に油を差さないでください。
掃除しても直らない異音は、寿命のサインかも
掃除・針交換・使い方の見直しをしても異音が消えない場合、特にガリガリという金属音が続く場合は、内部の釜やギアが摩耗している可能性があります。ここまで来ると自分での対処は難しく、修理か買い替えかの判断が必要です。
修理に出す場合、掃除・調整で3,000〜8,000円、釜の交換になると5,000〜15,000円ほどが目安です。修理費が本体価格に近づくなら、買い替えも視野に入ります。修理か買い替えかの判断基準や、ミシンの寿命の見極め方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ ミシンの寿命は何年?壊れるサインと修理・買い替えの判断基準
なお、「異音」ではなく「モーター音はするのに針が動かない・縫えない」という場合は、原因が異なります。そちらはこちらの記事で解説しています。
→ ミシンが動かないのにモーター音だけする原因7つ|針が動かないときの対処法
よくある質問
Q. 異音がしても、そのまま使い続けて大丈夫ですか?
A. カタカタ・シャカシャカ程度で、掃除や針交換で直るものなら問題ありません。ただしガリガリという金属音が続く場合は、使い続けると故障が深刻になる可能性があるので、早めに使用を止めて点検することをおすすめします。
Q. 買ったばかりのミシンでも異音はしますか?
A. 新品でも、糸かけミスや生地に合わない針を使うと音が出ることがあります。まずは糸・針・ボビンの基本を確認してください。それでも明らかに異常な音がする場合は、初期不良の可能性もあるので購入店に相談しましょう。
Q. しばらく使っていなかったミシンから異音がします。
A. 長期間動かしていないと、内部の油分が固まって動きが渋くなり、音が出ることがあります。まずは掃除をして、ゆっくり手回しで動かしてみてください。それでも改善しない場合は、内部の固着が進んでいる可能性があるので修理に出しましょう。
まとめ
ミシンの異音のポイントをまとめます。
- 異音がしたら、まず糸かけ・針・ボビンの基本を確認する
- 音の種類で原因が変わる(ガリガリ=摩耗/ギーギー=油切れ/カタカタ=針・糸/シャカシャカ=ボビン周り)
- ガリガリという金属音は要注意。放置すると故障が広がる
- 注油は取扱説明書で可否を確認してから。自己判断で油を差さない
- 掃除しても直らない異音は、寿命のサインの可能性がある
異音は「ミシンからのサイン」です。早めに原因を見極めて対処すれば、大きな故障を防いで長く使えます。
→ 異音以外のミシントラブルはここからチェック











