スパイダーマンが自作スーツを縫うミシンとは?ラストシーンの意味|元ミシン屋店長が解説


先日、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を見返していたんですが、ラストシーンでつい仕事モードのスイッチが入ってしまいました。
物語の終盤、ピーター・パーカーが新しいアパートで、自分の手でスパイダーマンのスーツを縫い上げたであろうシーン。あの背景に、白いミシンがしれっと置いてあるんですよね。ストーリーを追うべき大事な場面なのに、私の目は完全にミシンに吸い寄せられていました。元ミシン屋店長の性(さが)です。
そもそも、なぜピーターは自分でスーツを縫ったのか
ネットで見かける考察の多くは、「スターク(アイアンマン)の技術に頼らない、ヒーローとしての自立の象徴」という、なんとも格好いい解釈で語られています。もちろんそれも正しいのだと思います。
ただ、私はもっと生活感のある理由なんじゃないかと見ています。
だって、あのラストの新居、けっこう狭くてボロいアパートだったじゃないですか。今のピーターは、お世辞にも経済的に余裕がある状態には見えません。ハイテクスーツを一着仕立てるお金なんて、たぶん、ない。
そしてもう一つ、決定的なのが「頼める人が誰もいない」ということ。あの物語のラストでは、世界中の人々がピーターの存在を忘れてしまっています。メイおばさんはもういない。MJもネッドも、彼のことを知らない。つまり、助けを求めたくても、人脈がまるごとゼロになってしまったわけです。
お金もない、頼れる人もいない。だとすれば――もう自分で縫うしかない。私にはこのシーンが、「成長の証」という美しい話であると同時に、消去法の末にたどり着いた、切実な現実にも見えるんです。むしろそっちの方が、ピーターらしくて味があるなと。
元ミシン屋店長として、あのシーンで気になったこと
さて、ここからは完全に職業病の話です。
あのスーツ、鮮やかな青と赤の配色が印象的でしたよね。特に青いパーツは、光沢のあるサテンのような素材に見えました。原作コミックのカラーへの回帰だと言われていて、ファンからの評判もいい。
でも、ミシン屋の目線でひとこと言わせてもらうと……あの手の光沢生地、家庭で縫うとなかなか手強いんです。
ツルツル滑って布がずれやすいし、針の跡が残りやすい。伸びる素材ならなおさら、家庭用ミシンだと縫い目がガタついたり、生地の下側が送られずにたわんだりしがちです。ピーターがあれをきれいに縫い上げていたとしたら、なかなかの腕前だぞ、と。ヒーローは裁縫までできて当たり前なのかもしれません。
ちなみに、劇中のミシンがどのメーカーの何という機種なのかは、あのワンシーンしか映らないうえに画面もぼやけていて、正直はっきりとは分かりませんでした。「これだ」と断定している情報も見つけられず。
ヒントはボケた映像だけですが、私が思ったのは「JUKIの職業用ミシンではないか?」ということ。JUKIの職業用ミシン「シュプール」シリーズにとても似ていました。しかし、JUKIのミシンでしたらミシン左上のあたりに「JUKI」と記載があるので違うかもしれません。多分このミシンはJUKIのミシンを参考にして作られた、この世には存在しないミシンなんでしょう。マルチバースミシンです。
もし本気で「自作スーツ」に挑むなら
映画の話から少しだけ現実に戻すと――もし本当にコスプレ衣装や、あの手の光沢・伸縮素材をきれいに縫いたいなら、ミシン選びは意外と大事です。
滑る生地や厚みのある素材を安定して縫うなら、パワーと直線の縫い目の美しさに定評のある職業用ミシンが心強い相棒になります。逆に、まず1台目として無理なく始めたいなら、初心者でも扱いやすい機種から入るのがおすすめです。
ピーターのように「お金も人脈もないから自分で縫うしかない」という状況は、なかなか訪れないと思いますが(笑)、自分の手で何かを仕立てる楽しさは、ヒーローじゃなくても味わえます。一着縫い上げたときの達成感は、ちょっとした変身気分ですよ。
私もミシンでスパイダーマンの衣装を縫いたいという人はこのおすすめ職業用ミシンの記事や初心者におすすめのミシンが参考になるかもしれません。
それでは、良いミシンライフを。
その他、JUKI愛用で有名なロッチ コカドケンタロウさんの記事も合わせてご覧ください。











