ニット生地に対応したミシンおすすめ5選|家庭用で縫えるか元ミシン屋店長が解説
こんにちは!元ミシン屋店長のけいです。
「Tシャツや子ども服を作りたいけど、家庭用ミシンでニット生地って縫えるの?」
そんな疑問を持つ方はとても多いです。結論から言うと、ミシンの選び方さえ間違えなければ、家庭用ミシンでもニット生地は十分に縫えます。
ただし、すべての家庭用ミシンが対応できるわけではありません。ニット生地には伸縮性があるため、普通の縫い方では糸が切れたり、生地がつれたりしてしまいます。
この記事では、元ミシン屋店長として1,000件以上のミシン相談に対応してきた経験をもとに、ニット生地を縫うために必要な機能と、価格帯別のおすすめ機種を厳選して紹介します。
ニット生地を家庭用ミシンで縫うのは難しい?
ニット縫いで失敗する3つの理由
ニット生地の縫製でよくある失敗には、主に3つの原因があります。
①糸が切れる・縫い目がほどける ニット生地は引っ張ると伸びます。普通の直線縫いの糸には伸縮性がないため、着用や洗濯で生地が伸びると縫い目が耐えられずに切れてしまいます。
②生地がつれる・縮む 押えが生地を上から押さえる力(押え圧)が強すぎると、ニットのような柔らかい素材は送り歯に引っ張られて縮んでしまいます。縫い終わったあとに生地がヨレてしまうのはこれが原因です。
③生地が針穴に落ち込む ニット生地は薄くて柔らかいため、針板の穴(特にジグザグ対応の広い穴)に生地が引き込まれてしまうことがあります。縫い始めに生地が動かない、団子状になるのはこれが原因です。
「この4つの条件」を満たすミシンなら縫える
上記の失敗を防ぐために、ニット対応ミシンに必要な条件が4つあります。この4つのうち最低でも2つを満たしているミシンを選ぶことが、ニット縫いで失敗しないポイントです。
①伸縮縫い(ニットステッチ)が搭載されているか
ニット生地を縫うには、生地の伸びに追従できる縫い目が必要です。伸縮縫い(ニットステッチ)は、縫い目自体に伸縮性を持たせた専用のステッチで、引っ張っても糸が切れにくくなります。
②押え圧調整ができるか
押え圧とは、押えが生地を押さえる力のことです。ニットのような柔らかい素材を縫うときは、押え圧を弱めに調整することで生地のつれや縮みを防ぐことができます。
押え圧調整機能がないミシンでも縫えますが、ニット縫いを本格的にやりたい方には欲しい機能です。
③送り歯が7枚あるか
送り歯は生地を前に送る部品です。枚数が多いほど広い面で生地を支えられるため、薄くて柔らかいニット生地でも安定して送ることができます。送り歯が少ないミシンだと6枚以下ですが、7枚送り歯のミシンは特に薄地や伸縮素材での安定感が違います。
④送り歯が水平に動く機構があるか
一般的な家庭用ミシンの送り歯は、動作の構造上どうしても前後で少し傾きが生じます。これに対し、送り歯を常に水平に保ちながら布を送る機構を持つミシンは、縫い縮みや布ズレが起きにくく、ニット生地のような扱いにくい素材でも安定した縫い上がりになります。
JUKIのBOX送り(特許機構)が代表的ですが、ブラザー オリビア500も独自の新設計送り歯で同様に水平動作を実現しています。メーカーによって名称は異なりますが、「送り歯が水平に動く」という点では同じ思想の設計です。
ニット生地におすすめのミシン5選【価格帯別】
ここからは、価格帯別におすすめの5機種を紹介します。価格が上がるほどニット縫いのしやすさも上がる順番で紹介しているので、ご自身の予算や用途に合わせて選んでください。
〜3万円台:ジャノメ JN831
| 条件 | 対応 |
|---|---|
| ①伸縮縫い | ✅ |
| ②押え圧調整 | ❌ |
| ③7枚送り歯 | ✅ |
| ④水平動作設計 | ❌ |
JN831はジャノメの定番コンピューターミシンで7枚送り歯搭載機種です。伸縮縫いも対応しており、この価格帯でニット縫いの入門機として選べるおすすめの1台です。
押え圧調整機能は非搭載ですが、金属製針板を採用しているため耐久性が高く、縫い目の安定性はこの価格帯では群を抜いています。
ここがポイント 「まずニット縫いを試してみたい」「コストを抑えたい」という方の最初の1台として最適です。ミシンを使いやすくする自動糸調子や自動糸切り機能は搭載していますが、押え圧調整ができないため、薄手のニット生地では縫いにくさを感じることもあります。記事の終盤に「ニットをきれいに縫う4つのコツ」を掲載していますので、このミシンを選ばれる際はそちらも合わせてご覧ください。
4〜6万円台:ブラザー オリビア500
| 条件 | 対応 |
|---|---|
| ①伸縮縫い | ✅ |
| ②押え圧調整 | ❌ |
| ③7枚送り歯 | ✅ |
| ④水平動作設計 | ✅(水平送り) |
オリビア500はブラザーのコンピューターミシンで、①③④の3条件を満たす5万円前後の優秀な1台です。押え圧調整機能は非搭載ですが、新設計の送り歯が水平に動く構造により、縫い縮みや布ズレが起きにくく、ニット生地でも安定した布送りが実現されています。この価格帯で水平動作設計を備えているのは珍しく、ニット縫いのコスパという点では優れた機種です。
自動糸調子・自動糸切り・段差に強い押さえも搭載されており、初心者から中級者まで幅広く使えます。
ここがポイント 「ニット生地を本格的に縫いたいけれど、予算は抑えたい」という方に最もおすすめの1台です。3条件を満たしながらこの価格帯は非常にコスパが高く、入園グッズやバッグから子ども服・Tシャツまで幅広く対応できます。記事の終盤に「ニットをきれいに縫う4つのコツ」を掲載していますので、あわせてご覧ください。
7〜9万円台:JUKI HZL-VS200P
| 条件 | 対応 |
|---|---|
| ①伸縮縫い | ✅ |
| ②押え圧調整 | ✅(7段階) |
| ③7枚送り歯 | ✅ |
| ④水平動作設計 | ✅(BOX送り) |
HZL-VS200PはJUKIのVSシリーズで、エクシードシリーズの後継機にあたるモデルです。最大の特徴はJUKI工業用ミシンの技術であるBOX送り機構を搭載している点。送り歯を常に水平に保ちながら布を送るため、ニット生地でも縫い縮みや布ズレが起きにくく、安定した縫い上がりになります。
押え圧調整は7段階と細かく設定できるため、薄手のニットから厚手のスウェットまで素材に合わせた調整が可能です。縫い模様は20種類とシンプルに絞られていますが、ニットソーイングに必要な伸縮縫いはしっかり搭載されています。
ここがポイント 「縫い模様の多さより、縫いの性能にこだわりたい」という方向けの1台です。BOX送りの効果はニット生地で特に実感しやすく、HZL-FQ65と同じ機構を持ちながらコストを抑えられるのが大きな魅力です。直線針板は別売りですが、追加購入することでさらにニット縫いのクオリティが上がります。
10万円以上:JUKI HZL-FQ65
| 条件 | 対応 |
|---|---|
| ①伸縮縫い | ✅ |
| ②押え圧調整 | ✅ |
| ③7枚送り歯 | ✅ |
| ④水平動作設計 | ✅(BOX送り) |
HZL-FQ65はJUKIのFシリーズ最上位機種で、家庭用ミシンの中でも最もニット縫いに向いた1台と言えます。VS200Pとの最大の違いは、直線用針板が標準付属している点です。
直線用針板は針穴が極めて小さく、薄いニット生地が針穴に引き込まれるのを防ぎます。縫い始めの生地の落ち込みや糸団子が起きにくくなるため、薄手のニット生地でも安定した縫い始めができます。
さらにエロンゲーション機能(模様の拡大縮小自動調整)、ひざ上げレバー、豊富な付属押えなど、本格的な洋裁を楽しむ機能が揃っています。
ここがポイント 「薄手のニットや伸縮率の高い素材も縫いたい」「本格的な洋裁全般をこの1台でやりたい」という方の最終到達点となるミシンです。直線用針板が標準付属されているのはこの機種ならではの強みで、ニット縫いのストレスを大幅に減らしてくれます。
【本音】ニットソーイングで本当に快適なのは職業用ミシン:JUKI SL-300EX
家庭用ミシンのおすすめを紹介してきましたが、元ミシン屋店長として本音を言うと、ニット生地を最も快適に縫えるのは職業用ミシンです。
職業用ミシンは直線縫い専用のため、針板の穴が小さく設計されています。ニット生地が針穴に引き込まれるトラブルが起きにくく、縫い始めから安定した縫い目が得られます。また、モーターのパワーが家庭用ミシンとは段違いで、薄手のニットから厚手のスウェットまで、どんな素材も安定して縫い進めることができます。
JUKI SL-300EXは職業用ミシンの中でも扱いやすさと性能のバランスが優れた1台です。ただし職業用ミシンは直線縫い専用のため、ジグザグ縫いや端かがりには別途ロックミシンが必要になります。
ここがポイント 「洋服作りにどっぷりハマった」「ニット生地を中心に本格的に縫いたい」「毎日のようにソーイングしたい」という方には、職業用ミシン+ロックミシンの2台体制が最終的に最もコスパの良い選択です。職業用ミシンについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ニットをきれいに縫う4つのコツ
ニット対応のミシンを選んでも、縫い方のコツを知らないと仕上がりに差が出ます。ここでは元ミシン屋店長が現場で伝えてきた4つのポイントを紹介します。
ニット縫いのコツについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
①ニット用の針と糸を使う
ニット生地には専用のニット針(ボールポイント針)を使いましょう。普通の針は先端が尖っており、ニット生地の繊維を切ってしまうことがあります。ニット針は先端が丸くなっており、繊維の間をかき分けて縫い進めるため、生地を傷めません。
糸はレジロンなどのニット専用糸か、ポリエステル糸を使うと伸縮性が出て縫い目が切れにくくなります。
②伸縮縫いを使う
直線縫いではなく、ミシンに搭載されている伸縮縫い(ニットステッチ)を使いましょう。縫い目自体に伸縮性があるため、生地を引っ張っても糸が切れにくくなります。
③押え圧を弱めに設定する
ニット生地を縫うときは押え圧を標準より弱めに設定することで、生地がつれたり縮んだりするのを防げます。押え圧調整機能があるミシンの場合は、まず試し縫いをしながら最適な圧を探してみてください。
④縫い始めは生地をしっかり支える
ニット生地は柔らかいため、縫い始めに針板の穴に引き込まれやすいです。縫い始めの数センチは、生地を後ろ側に軽く引きながら縫い進めると安定します。また、薄い紙(トレーシングペーパー)を生地の下に敷いて縫い始め、あとで破って取り除く方法も有効です。
よくある質問
Q. ロックミシンがないとニット生地は縫えませんか? A. 家庭用ミシンでも縫えます。伸縮縫い対応のミシンであれば、ロックミシンなしでもTシャツや子ども服を縫うことができます。ただし、仕上がりの美しさや耐久性を求めるならロックミシンがあるとより快適です。
Q. ニット生地の種類によって縫いやすさは変わりますか? A. 変わります。伸縮率が低い天竺やスムースニットは比較的縫いやすく、家庭用ミシンでも扱いやすいです。一方、伸縮率が高いリブニットや2wayストレッチは難易度が上がります。初めてニット縫いに挑戦する方は、伸びにくい素材から始めるのがおすすめです。
Q. 普通のミシンでニット生地を縫うとどうなりますか? A. 縫えないわけではありませんが、縫い目が伸びに耐えられず切れてしまったり、生地がつれて縮んだりするトラブルが起きやすいです。ニット生地を縫う機会が多いなら、本記事で紹介したような対応機種を選ぶことをおすすめします。
Q. この記事で紹介した機種の中で、初心者に一番おすすめはどれですか? A. 予算が許すならJUKI HZL-VS200Pが最もバランスが良くおすすめです。すべての条件を満たしながら9万円台という価格は非常にコスパが高く、ニット縫いだけでなく幅広い用途に対応できます。予算が難しければ、オリビア500やJN831でも十分縫っていただけます。
まとめ
ニット生地を家庭用ミシンで縫うために必要な3つの条件をおさらいします。
- ①伸縮縫い(ニットステッチ)搭載
- ②押え圧調整機能あり
- ③送り歯7枚
- ④送り歯が水平に動く機構(BOX送り・水平送りなど)
この条件を踏まえた5機種の選び方まとめです。
| 予算 | 機種 | おすすめポイント |
|---|---|---|
| 〜3万円台 | ジャノメ JN831 | 入門機として最適、7枚送り歯搭載 |
| 4〜6万円台 | ブラザー オリビア500 | 3条件すべて満たす最高コスパ |
| 7〜9万円台 | JUKI HZL-VS200P | BOX送り搭載でワンランク上の縫い心地 |
| 10万円以上 | JUKI HZL-FQ65 | 直線針板標準付属、薄手ニットも安心 |
| 本格派 | JUKI SL-300EX | 職業用ミシンで別次元の縫いやすさ |
ニット生地を縫うミシン選びで迷ったら、まず予算と作りたいものを整理してから機種を選ぶと失敗が少なくなります。この記事が参考になれば幸いです。
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