「シンガーの電動ミシン SN55eとSN20Aって何が違うの?」という方向けに、仕様と主な違いを中心に比較します。

どちらも電動ミシンで基本的な性能に大きな違いはなく、フットコントローラーを踏んで操作をするタイプです。

ある程度「ちゃんとしたミシン」なのにお手頃な価格なのが魅力のひとつですよね。

家庭用の入門〜普段使い用やセカンドミシン(2台目のミシン)として人気です。

でも、選び方を間違えると

「思っていたより扱いづらい…」

「縫う前の準備が大変」 ということが起きるかも知れません。

どちらを選んだらいいのかは使う人の経験値や今まで使用してきたミシンのタイプによって変わってきます。

「こんなミシン買うんじゃなかった!」
と、ならないようこの記事で違いを確認してから購入することをおすすめします。

結論:迷ったらSN55eがおすすめ!

  • SN55eがおすすめ:SN55eの方が初心者は使用しやすい。下糸が全回転水平釜(上からボビンを落とすタイプ)で、セットが直感的。針穴糸通し機能が搭載している。
  • SN20Aがおすすめ:下糸が垂直半回転釜で、ボビンケースの使用に慣れている人ほど扱いやすい。SN55eよりも軽量コンパクトで持ち運びがしやすい。

スペック(サイズ・重さ)

SN55e:一回り大きく、安定感寄り

  • 幅:399mm × 奥行:180mm × 高さ:297mm
  • 重量:約5.65kg(本体のみ)

SN20A:軽量コンパクト

  • 幅:348mm × 奥行:183mm × 高さ:292mm
  • 重量:約4.35kg(本体のみ)

ポイント:ミシンは“軽い=正義”ではありません。
ミシン本体が重いほどテーブル上でガタガタと動きにくく安定してソーイングをすることができます。
この2機種は違いますが、あえて重たくするためにミシン本体に重たくなる素材を入れているミシンもあるくらいです。

逆に、収納や出し入れの頻度が高い。あまり重たいミシンは持ちたくない方ならSN20Aの軽さも魅力になってくるでしょう。

比較項目 SN55e SN20A
下糸方式 上から入れるタイプ(カマカバー/ボビンを落とし込み) ボビンケース式(前面カマ開閉)
送り歯停止 ドロップフィード(送り歯の上げ下げ) 送りカバープレートで対応(取り付け式)
糸通し 糸通し機能あり 手動
サイズ(mm) 幅399 × 奥行180 × 高さ297 幅348 × 奥行183 × 高さ292
重量(本体) 約5.65kg 約4.35kg
消費電力 70W 70W
おすすめ 準備を簡単にしたい初心者/便利機能も欲しい人 軽さ・収納性重視/ボビンケースに抵抗がない人

いちばん大きな違い:下糸の準備の仕方

SN55e:水平全回転釜(上からボビンを入れる)

SN55eは、針板の上側にある「カマカバー」を開けて、事前に準備した下糸を巻いてあるボビンを反時計回りで糸が巻ける状態で入れて下糸の準備をします。

初心者がつまずきやすい「下糸の調整」を覚える負担が減り、日常のちょっと縫いがラクになります。

SN20A:垂直半回転釜(カマ開閉+ボビンケース)

SN20Aは、ボビンケースを取り出し、下糸が巻いてあるボビンをボビンケースにセットします。

この方式は、工業用・職業用・昔ながらの家庭用ミシンに慣れている人だと

「扱いやすい」

「こっちの方が落ち着く」

と感じる方もいらっしゃいます。

反面、初心者の人は最初の「下糸の調整」で戸惑ってしますかもしれません。


下糸以外の大きな差は2点

自動針穴糸通し機能の有無

SN55e:自動針穴糸通しが使える


老眼・細い糸・夜作業など、「糸が見えづらい問題」を減らせるのは実用面でかなり大きいです。自動針穴糸通しを使用するために多少のコツは入りますが、すぐに慣れることができるでしょう。
お客さんの中でもうまく使えない方がいらっしゃいましたが、使い方を説明すると簡単に針に糸を通すことができるようになりました。

SN20A:針穴糸通しが付いていないので自力で通す

SN20Aには自動針穴糸通し機能が搭載されていません。
針穴に糸を通す場合、自力で針の穴に糸を通す必要があります。
自力で通すときのコツは明るい部屋で、糸の先を斜めに切れ込みを入れることで通しやすくなります。

ドロップフィードの有無とボタン付け

SN55e:ドロップフィードあり

SN55eはドロップフィードという送り歯(ソーイング中に生地を奥側に動かす部位)を下げる機能が搭載されています。

ボタン付け(ボタン付け押え付属)をしたい方はドロップフィード機能があると便利!
しかし、注意が必要な点が1点あります。

ボタン付けが完了したら必ず、ドロップフィードレバーは元の位置に戻しましょう。
戻しておかないと、次に使おう(直線縫いやジグザグ縫い)をしようと思ったとき、送り歯が下がったままで生地が送られていかずに

『ずっと同じところしか縫わない』

『何もしていないのに壊れた!』

と思われ、修理持ち込みされるお客様もいらっしゃいました。
なのでドロップフィードレバーを触ったら元に戻す癖をつけておくといいかもしれません。

SN20A:ドロップフィードはないが「送りカバープレート」が付いている

SN20Aはドロップフィード機能が付いていません。ですが、送り歯の上に被せる「送りカバープレート」が付いてきます。送り歯の上に被せるのでミシンを動かしても生地がミシンの奥側に送られていくことがありません。

SN20Aにはボタン付け押えが付いてこないのでボタンを付けたいときは手縫いで付けることになります。


模様数:できることは近くても大きな違いがある

模様(ステッチ)数

  • SN55e:縫い模様数「7種類14模様」
  • SN20A:縫い模様数「8種類13模様」

このミシンを購入検討される方の多くは基本的な縫い模様があればOK!という方が多いです。「直線縫い」「ジグザグ縫い(縁かがりとして使用)」「まつり縫い」「ボタンホール縫い」は付いているので、あまり気にしなくていいでしょう。

しかし、1つ「SN55e」には付いていて「SN20A」には付いていない縫い模様があります。その縫い模様とは、

左基線の直線縫い」です。

この「左基線の直線縫い」と「真ん中基線の直線縫い」は何が違うかというと、ソーイング中に針が落ちる位置が左側か真ん中かという違いがあります。

『縫う位置を変えたいなら生地を少しずらしたらいいじゃない』と思うかもしれませんが、大事なのはそこではなく、針穴(針が落ちていく穴)の真ん中に針が落ちるのか、左側に落ちるのか。というところです。

解説します。

薄い生地は厚い生地に比べてミシンに絡みやすい傾向があります。

その絡みやすい薄い生地を縫うときに「左基線の直線ぬい」がとても効果を発揮します!

薄い生地を縫うときに針穴の真ん中を縫うよりも左側を縫ったほうが、生地が針穴に食い込んで行きにくくなります。

そのため、薄い生地を縫うときは「左基線の直線縫い」ができた方が失敗が少なくなります。その部分が小さいようで大きな違いです。

初心者さんは失敗が多くなるとミシンを使うこと自体が嫌になってしまうかもしれませんので「左基線の直線縫い」ができる「SN55e」がおすすめです。


どっちが向いてる?用途別のおすすめ

SN55eが向いている人

  • はじめてのミシン(初心者)で、下糸セットを簡単にしたい
  • 自動針穴糸通しや左基線の直線縫いで作業ストレスを減らしたい
  • 薄い生地も厚い生地もキレイに縫いたい

SN20Aが向いている人

  • 半回転垂直釜・ボビンケースの扱いに抵抗がない(慣れている)
  • 軽くてコンパクトな方が良い(収納・持ち運びが多い)
  • とにかく安い方がいい

まとめ:差は小さく見えて、使い勝手は結構違う

SN55eとSN20Aはどちらも家庭用の電動ミシンとして十分実用的ですが、購入後の満足度を分けるのは主に次の3点です。

  1. 下糸の準備の仕方(水平釜=SN55e / 垂直釜=SN20A)
  2. 糸通し・左基線の直線縫いなどの便利機能(SN55eの方が強い)
  3. サイズ・重さ(収納性・持ち運び=SN20A / 安定感=SN55e)

元ミシン屋としては初心者の方ほど「SN55e」を選ばれた方が使いやすい機能が搭載しているし、お値段もあまり差がないのでおすすめです。

ですが、

  • 半回転垂直釜(ボビンケース)の扱いに慣れている
  • とにかく軽い方がいい
  • とにかく安い方がいい

という人は「SN20A」を選ばれてもいいかもしれません。

以下でそれぞれのミシンについて解説していますので参考にしていただけたら嬉しいです!

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